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青葉ずく

 長い間萱の木の上ばかりを見つめていたので少し腰の痛みが出てしまった。久々のアオバズクとの対面で嬉しさのあまりに夢中で撮影をしていたらあっという間に夕暮れとなり撮影しているのは中年のご夫婦と私一人となってしまった。もうそろそろ撤収しようかと思いつつも後ろ髪引かれる思いもありまたファインダーを覗き込んだりもしていると。

 駐車場に一台の軽トラが止まり小柄な男性が境内を何かを確認するかのように歩いていた。私のところに来るとどうでしたかよく撮れましたか?農家の方なのか年の頃は七十半ばもしくは八十の頃合いかな野良仕事で朝黒く日焼けしたその笑顔には好感がもたれた、今日一日の農作業が終わりこの神社にお参りに来たのだろうか汗ばんだ素肌にポロシャツには汗の塩が浮き出ている。左の胸のポケットにはラークのタバコの箱が、何か訳ありなのか歌の文句にも出てきそうな感じ。


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 雛2羽がいますかな?今朝は早くから大変だった写真で来られた方々の車がこの狭い駐車場に鮨詰めの如くに車を入れてしまい、当社中の氏子たちが掃除に来たのだが車が停められなくなってしまった。来年からは駐車場閉鎖することも考えているのですよ。明日から夏祭りが始まるので今日は朝早くから近所の氏子たちも自転車などで駆けつけ総出で境内の掃除に来ていた。掃除をするので皆さんの車を一度立ち退いてもらった時にブサくさと文句を言う者もいたらしい。

 なんたる非礼なことだ怒りを覚える。私もその言動を事実聞いている。枯れ葉の掃除やらしめ縄の交換など氏子たちが三、四台の軽トラが忙しく狭い境内の中を行き来しているにも関わらず。平然と三脚を立てて我が物顔で撮影してい薄ら馬鹿どもらは如何なものかと。全くいい場所を見つけて撮影していてもあの軽トラに邪魔にされる全くなんだここの場所と、悪タレをついているカメラマン恥を知れ。

 これらのマナーの悪い輩は写真を撮りネットに公開しても良いと思う。また以前にはとある農家の家の方の大変なるご配慮とご好意でトラフズクを撮影させてくださる方の所では、人伝に口コミで神奈川の方からやってきた婆様たち、断りもなしに農家の家主の敷地内に立ち入りこの時も注意されても平然と撮影を始める始末。なんたる恥知らずなのか!。度々マスコミやニュースなどで取り上げられる非常識極まる撮り鉄たちと何ら変わりはない。

 私は頃合いを見て撮影を終わり片付けを始めているとその農家の方が話しかけてきた。今年も良かった雛が巣立つことができて本当によかったですね。人の良さそうなこの人物は一体何者なのか、今年の春先には向こうの本殿の先の萱の木のウロでフクロウ3羽巣立ったのだと、毎年夏祭りが始まる頃にはアオバズクはどこかへ行ってしまうと、実は私はここの氏子総代を長年やっておりますが。全くここ何年かは非常識な方々が増えてきましてね、よろしくお願いしますと、ご丁寧にご挨拶をいただき。もう一組のご夫婦も寄ってきてああここにも雛がいますねと、いやそれは親ですよとやはりだいぶ詳しい方。この萱の木が以前八年ほど前かな台風で上の方が折れてしまいその後三年ぐらいはアオバズクは来なくなってしまったが、ここ五年ぐらい前からまた来るようになった。

 その時に折れたのが社務所脇に横たわっている倒木ですと指差した。記念と言ってはおかしいが取って置いてあるなぜかならばこの萱の木は御神木なんですよ。その七、八年前台風の二年前だったと思うが一羽の雛が向こうの神社脇の2メートルぐらいの高さの植え込みに止まってしまいそんな低い所で大丈夫かなと皆で心配したのだが案の定カラスにやられてしまったこともあるのだそうだ。

 等々さまざまに教えていただき私の方から今後ともよろしくお願いしますまた感謝いたしますと名刺をお渡した。時はもうすっかりと日が暮れ境内は薄暗くなってきていた。この氏子総代は一服よろしいですかなと言ってラークのタバコに火を着け美味そうに吸い始めた、久々のタバコの香り夕暮れ時何か絵になりそうな感じ。木兎の時にはお知らせしますよ。また明日からの夏の祭りは楽しんでください、ではまたよろしくお願いしますと言って軽トラに乗って去りゆく姿は野良仕事の白い長靴姿がよく似合う方であった。


            山ふかみけぢかき鳥の音はせで 物おそろしきふくろふのこゑ

           青葉さへみれば心のとまるかな散りにし花のなごりと思へば

           さみだれの晴れまもみえぬ雲路より山ほととぎす鳴きてすぐなり

                                                『西行上人』

# by hiro-0941 | 2022-07-24 16:50

梅雨明け

 あらぁ~今晩はいらっしゃいませもう梅雨明けですかね~と、カウンター越しに珍しく割烹着を着た女将が笑みを返しこれから嫌なくらいに暑くなるんですよね~。今日は今朝うちの板さんが豊洲に行って仕入れてきた、太刀魚の刺身もしくは、塩焼きが有りますが如何しますか?今朝木更津沖で上がったみたいですよと、お品書きを説明するグレーのマニキュアが気になる。

 冷酒もいくつかありますよとのこと私は太刀魚の刺身と冷酒老松を頼んだ、この太刀魚の刺身は他の刺身と違い口触りがねっとりというかしっとりとしている、そしてこの日本酒の老松はキリリとした口触りというか口の中に広がる日本酒独特の芳醇さがあり酒飲みにはたまらない旨さがある。太刀魚の新鮮さなのか見事に合う酒である真に旨い梅雨時のじっとりとした季節にこんな爽やかな気持ちにもなるものだとしばし思うことあり。


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 ここのところ天候そのものが三、四十年ほど前よりの気候とは明らかに全く打って変わってきている、これは誰もが認めることであろうが。ここ十年ぐらいからだろうか篠突く様な雨 が当たり前のように降ってくる、挙げ句の果てにはずぶ濡れになるほどの激しい雨が多くなってきた。各地では大雨洪水注意報やら河川の氾濫の注意等の警報情報が当然の如くである。地球崩壊の一途を辿るのかな?。

 嘗てはシトシトと雨がそぼ降る様は日本の独特の気候である、時には肌寒く暖房が恋しくなる時もあり、または蒸し暑さを感じるこの陽気季節の変わり目などは体調があまり芳しくない私の体、体のどの部分が何がどうこうしたと言うのではない、若い時から季節の変わり目は春先の花粉症からこの梅雨明けの頃まで悩まされるのである。

 そんなこんなを思い巡らしいると冷酒も空になりどうされますか少し多めにお酒持ってきましょうか女将が何かおつまみカサゴの刺身少なめでお作りしましょうかと相変わらず物腰が柔らかい。しばらくすると女将がこれは私が気に入ってるものなんですよろしければ涼しさを味わってくださいねとガラスの急須みたいなものに冷やされた酒を持ってきた。こんな物があるのかと思いつつ酒も進みカサゴの刺身も堪能した。

 お会計はこの前遊びに来ていた孫たちがセットして教えてもらったPayPayを使いアルバイト若い女の子の横に立つ女将が関心そうに見ていた。又おいで下さいとそれにしても私はあのグレーのマニキュアが気になる。何か今夜夢に出そうだ。

 昨日までの断続的な激しい雨続きが今日になって嘘のように止んで雲の合間より強烈な日差しが出るようになったが雲行きも悪くなりそうな予感もあり久々に東京郊外へと出向くと。一時間も車で走ればやはり雲行きが本当に悪く鉛色の雲が垂れ込めたと思うと、激しいスコールのような叩きつける雨車のワイパーが全く使い物にならない暫しどこかで休まねばとファミレスへと駆け込んだ。

 なんの意味もなく約二時間ほどファミレスで足踏みをしてしまい今回はやめようかと思いつつも小雨になった空を見上げながら車は一路西へと向かい、段々と田舎の風景が都会の喧騒とは違い若干のどかな農村風景もありまだこんな風景もあるのかと思う。

 その昔には村の小さな鎮守の森の神社がある。この辺りは古からは万葉集古今和歌集などにも収められている「堀兼の井戸」というのがある、まだまだ武蔵野の原風景を残す地域でもある。またこの地域広く一帯は昔から猛禽類が多く生息をする地域でもあり、木兎や木の葉木菟梟トラフ木菟などこの春先からこの六月ごろまでにそれぞれの雛の誕生が見られる地域でもある、そこでアオバズクの雛が見られるともう少しで夏祭りが近いという神社に出向いた。出かけた時間の関係で午後の三時を過ぎてしまったが、蜩ゼミの鳴く森へと。アオバズクは私を待っていたかのように静かに深い森の中に佇んでいました。



               『井はほりかねの井、玉の井、走り井は逢坂なるがをかしきなり。』                        

                                      枕草子「清少納言」


               『いかでかと思ふ心は掘りかねの井よりも猶ぞ深さまれる』

                   

                                      女流歌人 『伊勢』



# by hiro-0941 | 2022-07-18 16:45

アオバズク

アオバズク私としては久々に出会いました。


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この日は大変蒸し暑い一日でした。

# by hiro-0941 | 2022-07-11 18:49

黒鶫♀

やや柔らかな斜光が眩しい春またるゝ二月の後半三階の事務所より望む玉川上水の樹々に陽光が燦々と降り注いでいる今年は例年になく寒さ厳しい冬である。この愚輩は寒さには強い方であるが流石に年齢と共に堪え人間としてか暖かさが恋しい、春が本当に待ち遠しいこの頃である。

 愚輩の人生も他人の人生も人生色々悲喜交々の世の中、常なるものは一つも無い何時の世も同じであろう。と、玉川上水のいつもと変わらぬ風情を眺めながら思うこと暫し・・・。過日の事である突然にご報告があります。私事ですが私、先月に離婚しましたと、苗字が変わりましたとわざわざご挨拶に見えた女性社員とある支社の中堅幹部役職の女性、そう聞くとここ三・四ヶ月ほどになるが書類やらメールの一覧に見慣れぬ苗字があるのに気が付いてはいたが果たして?と。

 彼女の年は四十代前後かと思われる子供二人女の子パパママ双方で一人づつ引き取ったと、子供がまだ高校生なので学校の関係もあり互いに近くに住んで居ますとのこと、若干目を潤ませての報告。

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 そうでしたかいろいろとありましたね、居合わせた男女社員などと共に今度どういうふうにお呼びしたらと・入社時同期であったという一人の社外役員の女性から改まる苗字ではなく名前の方で明るく『あーちゃん』とでも呼んで良いですか?と。その呼び名は私幼稚園の時からの呼び名なんですと笑顔が見え一安心。私は、えぇぇ・・・と今度は五月初旬に支社に行く予定がありますのでその時には何かしら手土産でもお持ちしますよと。

 少し笑いの中で後にし失礼しますと閉められたドアの向こうでお茶を用意している他の女子社員との挨拶やら何かしかのカラカラとの笑い声も聞こえる。高校生の可愛い娘といえば感受性の高い思春期の年頃男女問わずであろう果たして青春時代如何したものかと・・・・。

 愚輩にも高校生と中学生の溺愛している可愛い孫娘二人がいる、時折お小遣いが欲しくてなんだかんだと理由を付けては遊びにくるが今時のこの年齢は大変に難しいのだろうか。何か他人事ながらふと案じながらも、心が少し痛み・・・ほろ苦く後ろ髪引く一抹の寂しさを感じた。

 時は・・・厳冬から早春を迎える頃玉川上水の樹々がもうすっかりと霜に覆われている。昼も過ぎてて仕事もひと段落の頃合いを見てスターバックスのコーヒを飲もうかとこの一年前会社の近くにオープンした店に出向き一・二時間ほど滞在。

 実はこの店の場所は以前にも紹介したシャトーのある有名な喫茶店があったところである。惜しまれつつ家主の経済状況なのかあるいは遺産相続の問題なのかは凡人貧者の察する事ではあるまいが、その跡地に今風のモダンな建物、東京の郊外のこの街にはアンバランスなような感じもするがまるで都心の六本木の街中にいるような佇まいである。大きな楠があり店内は木造をふんだんに使い床も木造のフローリングであるこの雰囲気は私の好みでもある。

 店内はマクドナルのように変にざわつきもなくシックな雰囲気の店の片隅に座り持参したマックのノートパソコンで電子書籍島崎藤村の初恋などを紐解き若き青春の想いに浸っている。(古過ぎて恐縮です。)

 全く持って今日のパソコンやらインターネット今やWi-Fiというだけで表現は済んでしまうが、本当に驚くほど便利な時代となった。タブレット端末やPCなどがあればいつどこでも本が読める。音楽も聴くことができる。本当に素晴らしいことだ、今更ですが羨ましくもあり後三十年も若ければITの道に進んでいたであろう。

 このような想いに浸っている時にちょうど聴きたい曲がある、『ジュピター・モーツァルト交響組曲41番』なのだ、(ちなみにこの私が聞いているジュピターと、あの有名な女性歌手が歌うジュピターとは全く別物である)。

 それにしても三、四十年前では考えられないことだ、喫茶店のマスターに頼んでリクエストしたものだ、店にその曲がなければ、有線と言って音楽を流す会社があってそこにリクエストをしたものだ。リクエストするには一曲確か五円か十円支払ったような思いがある。

 その昔もう四十年程昔になろうか愚輩がよく通った下町の喫茶店『論』と言ったかな、当時は喫茶店全盛期であり喫茶店は皆自前でフォークソングや、歌謡曲ジャズなどがレコードで流していた。数年前に懐かしさへの思い相まって町の散策で撮影も兼ねて訪れたがその喫茶店は悲しいことに商業都市開発の波に呑まれ跡形も無くなっていた。

 以前にも何かのところで書いたかもしれないが、愚輩がよく通ったこの喫茶店には週刊誌や雑誌・漫画などはなく文藝春秋やら月刊の新潮新書・日経・産経新聞などが置いてあり愚輩好みの店であり中でも一番のお気に入りはクラッシック音楽を流していたところにある。

 嗚呼・・・老い行く者には再び帰ることない青春の郷愁は古廼(いにしえ)の幻となり、儚き懐かしき思い出は遠き所にありかぁ~冬日和なのかなぁ~今日のような斜光は限りなく優しく何か切ない木漏れ日が私の心を包んでいるかのように、いま、……・愚輩はスタバの店の片隅にてBluetoothイヤホンであのジュピターを聴きながら季節外れか、アイスコーヒーの香りとほろ苦さを感じている。


何となく君に待たるるここちして出し花野に夕月夜かな


やわ肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君


春みじかし何に不滅の命ぞとちからある乳を手にさぐらせぬ


   与謝野晶子






# by hiro-0941 | 2022-04-24 22:01

キビタキ

六月の朝

 長梅雨かなあ~と、今朝の雨戸を開けながらどんよりとした空を見上げて呟き、遠く西の空には何やら鉛色の雲がまたどこかでゲリラ雷雨かな、お隣さんの庭先の紫陽花もそろそろ萎れ始めているし青梅もほどよく実り始めている。早く梅雨明けせぬかと思いながら除湿をしなくてはとエアコンのスイッチを入れ、このところ数年前からであろうか気象予報の中に線状降水帯の極めて危険な雨雲が次々に発生している、この地域は大変危険である。と、今朝も我が家のテレビからの放送が聞こえる。今年も大災害がなければと念じつつ先祖の仏壇に手を合わせ線香あげるのは何のことはない毎朝の日課でもある。

 何はともあれ先日やっとコロナのワクチン接種二回目が終わった、午後の一時三十分ごろに摂取し早くも夕方六時ごろには、三十七度近い熱が出始め左の腕も一回目とは違って痛みもかなりのものがある。ワクチン接種の日程が決まった時にかかりつけの医者より解熱剤を処方されていたのでそれを飲み、消化にもいいから少し温まるようにと上さんが作った、煮込みうどんに生卵を落とし食べた。が、しかし夜九時近い頃には三十八度を超えてきた、何か不思議な感じだ、熱が出るかもしれないと言われて、予防接種を受け必ず熱が出ると言うのは、自分なりに何かいかがなものかな、と何か変な感じだと思いながら重く非常にだるい体を横になれば早くも浅い眠りに入った。


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 翌朝方五時ごろ体が暑いのか熱っているのか寝汗なのか全身びっしょりと濡れている、こんな感じ子供の頃の風邪を引いた時以来かな。体温を測ってみるとどうやら平熱に近い三十六度七分になっていた、上さんが珍しく心配して着替えやらベットメイキングのようなことをしてくれフラフラもしているが著しく喉が渇きビールが飲みたいなどと言ったら何馬鹿なこと言ってるのと上さんが片付けているシーツを投げつけてきた。

 しばらくして上さんがどこかへいっている間に一杯飲もうと冷蔵庫を開けたらビールが跡形もなくなくなっていた。仕方がなく冷えたほうじ茶を結構飲んだ。体が異常なくらいに二倍も三倍も重くだるい、午前の十時半頃までよく寝た。二日目は驚くほどに腕の痛みもなく不思議と爽快であった。まあとにかく丸一日体のだるい日であった。ともあれオリンピックも経済的にも一日も早いコロナの終息を願うばかりである。



夭折の女流歌人作家でもある

     樋口一葉


『世の中の ひとの心に ならいけん かはるにはやき あぢさいの花』


『契りおきし 物ならなくに夕ぐれは あやしく人の 待たれぬるかな』


『夜もすがら 聞くともなしに聞てけり いおねぬねやの こほろぎの声』



# by hiro-0941 | 2021-07-04 18:50