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蝋     梅                       ルリビタキ

事務所内が慌ただしい一週間であった。実は事務所の移転が始まった、2年ほど前からいくつかの事業所の統合の話が持ち上がっており、昨年秋に正式に決まり今週から引っ越しが始まった。部署別に二ヶ月をかけて隣町へ引っ越しを行う、担当の者に聞くと私のはどうも最後の五月ごろらしい。現在の事務所が二十五年ほど、何度もブログの中に書いたが、三階の事務所より玉川上水が見渡せる素晴らしい景観のところなのだが、後ろ髪引かれる思いで此処を去らねばならぬとは・・・・感慨無量なり。


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ほつかりと梢に日あり霜の朝            高浜虚子
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by hiro-0941 | 2009-02-28 00:15

雨    水                        ルリビタキ

松の内も過ぎたある日、退社の時間もとうに過ぎた頃・・・・一息入れてコーヒーを飲む・・・窓ガラスが一面結露し街燈がぼんやりと灯っているのが見える、暖房がきついのではないかと思う窓を開ければみぞれ交じりの雨、道理でガラス窓の結露が甚だしいと思った。結露したガラス窓を拭きとれば黒い窓に映る壮齢を重ねた私がいる。それは昔・・・・夜汽車にてみぞれ降る片田舎の駅に降り立つ裸電灯の下私を待つ女人(ひと)、寒いね・・・・毛糸の手袋・・・・マフラーを二人で巻き肩寄あい路道に語り合った夜、遠くまた遠くで夜行列車の警笛が・・・また会えるよと車中の人となる、田舎の夜は深々と冷え込む夜汽車に揺られ窓ガラスに映る私は紅顔の青年十九か二十歳かな遠い昔だ・・・・。コーヒーを飲み終えて再び窓を開ければ、雪が事務所内に舞い散る・・・・。今夜は熱燗でと暖簾をくぐった、今年初めての小料理屋へ「あけまして・・・・お正月はいかが?今年もよろしく…」ねえぇ~私の事わかる?と女将が・・・・髪染めたのよ・・・もう…・と私の腕をつねった。鱈チリと熱燗で一杯。・・・・ううん~何ともいえぬ温まる、のど越しが・・・・旨い。

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いつまでも歩いてゐねばならぬごとき
思ひ湧き来ぬ、深夜の町町

なつかしき故郷にかへる思ひあり、
久し振りにて汽車に乗りしに         石川啄木
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by hiro-0941 | 2009-02-26 00:06

三寒四温                     エナガ

季節感のないほどの著しい温度差があり、温暖化の中の三寒四温というのは年々こんな形と成って現れてくるのかなと・・・・梅が咲きほころぶ玉川上水界隈を散歩する、小春日和とまではいかぬが暖かい穏やかなり、時折風向きによっては梅が静かに香り漂い、はたまた蝋梅もいい香りを漂わせている、山里は深くまた深く静かに春を待っている。

この季節はやはりこの歌「こちふかば…・」ですね。

『こちふかば匂ひおこせよ梅の花あるじなしとて春をわするな』    菅原道真

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先日の雨の日に久々の図書館にて一日休息若き日々の追憶を辿りながら書をひも解いた、覚書程度に走り読みをしたが如何せん歳相応で、記憶に留めるのがその時だけであって翌日にはすっかりと忘れている、何れまたこれらの以下列記した本の内容も書くとしよう。
樋口一葉 にごりえ・たけくらべ
林芙美子全集
北村透谷全集
永井荷風の墨東綺譚
鈴木牧之の北越雪譜
国木田独歩『欺かざるの記』
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by hiro-0941 | 2009-02-24 00:22

冬    野                   コチョウゲンボウ

ふと振り返れば山裾から木枯らしが吹いてきた、久々に冬枯れた野を歩いた。何するとは無し唯歩いていた。二月ともなれば冬本番であり、暦の上では春しかし待るる春はまだ遠い。


臥わびぬ霜さむき夜の床は あれて袖にはげしき山おろしの風    『後醍醐天皇』


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私の大好きな「串田孫一著随筆集」より抜粋

『冬にとって山の自然という大舞台には、さまざまの小道具も揃っている。
 沼の水を凍らせるにしても、工夫が凝らされている。その最初の薄い氷の張り具合を、人は近くにいて思う存分に観察するのは難しい。だが小さい池や流れの岸に立って見ると、氷に閉されて行く水や、そこにまぎれ込んだ泡が戸惑っている。だがそれは生命のある私達の受取り方であって、何か無条件にそれらに感情を移入しているためである。閉じ込められた水や泡は、そのことを悦んでいる訳でもないが、薄い氷の裏側から優美な曲線を描いて見せる。冬の自然が創造し、その形を暫時そこに残して自ら楽しんでいる。』
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by hiro-0941 | 2009-02-08 21:44

手     紙                      ルリビタキ

便箋十六枚も入った分厚い手紙が届いた、どれもが乱れた文字、滲んだインクの文字が其処彼処に・・・・亡き夫の葬儀に一方ならぬ尽力を頂き・・・・と御礼の手紙である、昨年十二月の初め田舎の友人が妻子を残し自ら命を絶った、同級生同士で結婚をし、子供も結婚をし何れは孫もと・・・・幸せそうであったが、何故に。・・・戸惑う亡き夫の妻も私の同級生・・・・何か力になればと取り急ぎ駆けつけ、田舎の友人たちと協力し葬儀の手配を滞りなく済ませ、・・・・。押し迫った年の暮れに少しは励ましになればと心を込めて手紙を送った。
在りし日を偲べば切なく、別れも辛く慟哭の涙ここに在り、語り尽くせぬその思い綴りても綴り切れない、惜別の情とめどなき落涙・・・・。 嗚呼・・・同じ学窓で学びし友よ何処へ行かれたか・・・・。病を押して高齢の恩師も参列されし、友よ何処にいま何処にか・・・。

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わかれ来てふと瞬けば
ゆくりなくつめたきものの頬をつたへり

                                  啄木
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by hiro-0941 | 2009-02-06 23:47