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 『螢 雪 の 功』                   ルリビタキ

今年の一月のことであった、四十年の時を経た小中学の同窓会に出席す・・・・。桜の花が舞い散る私の情も舞い散る、今もあなたこの桜を何処にてか見てますか・・・・?幾度となくこの季節のたびにともに歩いた桜の並木路・・・・。徒然に物思えば季節の移ろい変わるこの変遷を幾度も見ん・・・またその想いも数を重ねたことであろうか・・・・。桜満開、桜の花が時雨の如く舞う日それは、ともすれば一生会うこともない、友等との惜別の卒業式。
『蛍雪の功』とは・・・中国の晋の時代に、車胤(しゃいん)と孫康(そんこう)という若者がいたと、二人の家は明かりを燈す油を買う金もなく貧しく、夏の夜はホタルを捕まえその明かりで本を読みまたは、冬の夜に窓辺に積った雪を明かりに勉学に励む、その努力の甲斐あって、立身出世をする・・・・・と、なにも名を上げ身を立てよとは言わん、人並みの心でよいのだ人生の機微を汲める人間であれと、もう再び会うこともない友がいるかもしれないのだぞ、其々のゆく道はたがえども、ここで学んだことは忘れまいぞ、・・・・女性の恩師は涙交じりに語った、まさに仰げば尊しである。
若かった、何もかもが若く幼く若気の至りというか想いは千々に乱れ・・・・・。この時代、白線流しや、胸のボタン下さいなどというのはなかった、ただ、私は二、三人の女子に請われて卒業写真のアルバムの中にあった小冊子に、何かを書いたことを覚えていたが、同窓会の酒の席にて、それを見せられ赤面汗顔の至りである、恥ずかしくもなく『日本文学における恋愛論』と・・・・。いったい何様であったか。ねぇ~・・・・・あの頃にもう一度返りたいわね、と、お下げ髪であった彼女、もう私、孫が二人もいるのよ、酔ったわ・・・、昔のこと言いたい、東京へ行ったあなたを、ずうっと、ずっと待ていたのよ、まったく解らない人。そしてあなたの想ってた人はここよと、指差す名簿の欄は物故者の列の中にその名前は・・・・・・・。今まで知らなかった、儚きは人生切なきはわが郷愁の青春・・・・・・・。なんと今宵は田舎の寒さが我が胸を千々締め付ける・・・・・。

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花散れば とふ人まれに なりはてて  
  いとひし風の 音のみぞする

待てといふに 留らぬ物と 知りながら  
  強ひてぞ惜しき 春の別は


幾度となく読み返してもよい歌はどこまでも良い歌である    『新古今和歌集より抜粋』
by hiro-0941 | 2010-04-01 00:53
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