大曲の交差点を過ぎ、しばらく行くと左の折れ曲がる交差点に出るその下り坂をゆっくりと家々の垣根を見ながらゆけば、そこかしこに紫陽花の花が・・・・・そして懐かしい若い頃からお世話になった友人の家が見えてきた。垣根越しの鮮やかな紫陽花を二(ふた)枝分けて頂く・一息入れてからが、積もる話も多くいつしか夕刻になってしまい取り急ぎ車にて一路芦ノ湖へ・・・・・。
先頃友人たちと毎年恒例の芦ノ湖バンガローへと向かった、近くの高原に立つビュッフェにて待ち合わせ空気がきれいな時間に夜の星々を眺めようと向かったのはよいがあいにくの小雨模様となり霧まで出てしまっていた、時計はもうすでに日付が変わろうとする刻限、友等が集まるまで車内にてカーラジオを聞く、私のこの古い車のカーステレオというかカーナビは地方にゆくと電波受信がよくない、私の設定の仕方が悪いのかもしれないのだがなんとも、・・・・そのラジオよりザー・・・・ザッ・・ザー・・・ザッザーと雑音の中より聞こえる先般亡くなられた俳優の蟹江敬三氏の朗読、中原中也の『山羊の歌』の中の「汚れちまった悲しみ」・・・深夜NHKのラジオ番組深夜便より流れている、少し遅れてきた友が買ってきたビールを飲みながら小さな狭い空間の車内でも久々に中原中也の『山羊の歌』と題する世界に身を委ねた・・・・。心地よい一夜となった。 汚れつちまつた悲しみに 今日も小雪の降りかかる 汚れつちまつた悲しみに 今日も風さへ吹きすぎる 中略 汚れつちまつた悲しみに いたいたしくも怖気(おぢけ)づき 汚れつちまつた悲しみに なすところもなく日は暮れる…… 芦ノ湖の湖畔はこの時期朝夕は寒さを覚えるが日中は涼やかな高原のロッジから二泊の旅をして家に帰れば、東京の蒸し暑い梅雨空の現実が待っている。ふと思い出された私の大好きなある人の歌がある。以下に記す。 『 日暮里の 線路工夫や 梅雨の朝 』 『 朝寝して 寝返り打てば 昼寝かな 』 風天 との俳号を持つ 『 さくら幸せにナッテオクレヨ寅次郎 』 と歌う・・・国民的俳優・渥美清その人。私は取り分け「 朝寝して寝返り打てば昼寝かな 」が大好きである。
by hiro-0941
| 2014-06-22 22:55
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