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梅雨明け

 あらぁ~今晩はいらっしゃいませもう梅雨明けですかね~と、カウンター越しに珍しく割烹着を着た女将が笑みを返しこれから嫌なくらいに暑くなるんですよね~。今日は今朝うちの板さんが豊洲に行って仕入れてきた、太刀魚の刺身もしくは、塩焼きが有りますが如何しますか?今朝木更津沖で上がったみたいですよと、お品書きを説明するグレーのマニキュアが気になる。

 冷酒もいくつかありますよとのこと私は太刀魚の刺身と冷酒老松を頼んだ、この太刀魚の刺身は他の刺身と違い口触りがねっとりというかしっとりとしている、そしてこの日本酒の老松はキリリとした口触りというか口の中に広がる日本酒独特の芳醇さがあり酒飲みにはたまらない旨さがある。太刀魚の新鮮さなのか見事に合う酒である真に旨い梅雨時のじっとりとした季節にこんな爽やかな気持ちにもなるものだとしばし思うことあり。


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 ここのところ天候そのものが三、四十年ほど前よりの気候とは明らかに全く打って変わってきている、これは誰もが認めることであろうが。ここ十年ぐらいからだろうか篠突く様な雨 が当たり前のように降ってくる、挙げ句の果てにはずぶ濡れになるほどの激しい雨が多くなってきた。各地では大雨洪水注意報やら河川の氾濫の注意等の警報情報が当然の如くである。地球崩壊の一途を辿るのかな?。

 嘗てはシトシトと雨がそぼ降る様は日本の独特の気候である、時には肌寒く暖房が恋しくなる時もあり、または蒸し暑さを感じるこの陽気季節の変わり目などは体調があまり芳しくない私の体、体のどの部分が何がどうこうしたと言うのではない、若い時から季節の変わり目は春先の花粉症からこの梅雨明けの頃まで悩まされるのである。

 そんなこんなを思い巡らしいると冷酒も空になりどうされますか少し多めにお酒持ってきましょうか女将が何かおつまみカサゴの刺身少なめでお作りしましょうかと相変わらず物腰が柔らかい。しばらくすると女将がこれは私が気に入ってるものなんですよろしければ涼しさを味わってくださいねとガラスの急須みたいなものに冷やされた酒を持ってきた。こんな物があるのかと思いつつ酒も進みカサゴの刺身も堪能した。

 お会計はこの前遊びに来ていた孫たちがセットして教えてもらったPayPayを使いアルバイト若い女の子の横に立つ女将が関心そうに見ていた。又おいで下さいとそれにしても私はあのグレーのマニキュアが気になる。何か今夜夢に出そうだ。

 昨日までの断続的な激しい雨続きが今日になって嘘のように止んで雲の合間より強烈な日差しが出るようになったが雲行きも悪くなりそうな予感もあり久々に東京郊外へと出向くと。一時間も車で走ればやはり雲行きが本当に悪く鉛色の雲が垂れ込めたと思うと、激しいスコールのような叩きつける雨車のワイパーが全く使い物にならない暫しどこかで休まねばとファミレスへと駆け込んだ。

 なんの意味もなく約二時間ほどファミレスで足踏みをしてしまい今回はやめようかと思いつつも小雨になった空を見上げながら車は一路西へと向かい、段々と田舎の風景が都会の喧騒とは違い若干のどかな農村風景もありまだこんな風景もあるのかと思う。

 その昔には村の小さな鎮守の森の神社がある。この辺りは古からは万葉集古今和歌集などにも収められている「堀兼の井戸」というのがある、まだまだ武蔵野の原風景を残す地域でもある。またこの地域広く一帯は昔から猛禽類が多く生息をする地域でもあり、木兎や木の葉木菟梟トラフ木菟などこの春先からこの六月ごろまでにそれぞれの雛の誕生が見られる地域でもある、そこでアオバズクの雛が見られるともう少しで夏祭りが近いという神社に出向いた。出かけた時間の関係で午後の三時を過ぎてしまったが、蜩ゼミの鳴く森へと。アオバズクは私を待っていたかのように静かに深い森の中に佇んでいました。



               『井はほりかねの井、玉の井、走り井は逢坂なるがをかしきなり。』                        

                                      枕草子「清少納言」


               『いかでかと思ふ心は掘りかねの井よりも猶ぞ深さまれる』

                   

                                      女流歌人 『伊勢』



by hiro-0941 | 2022-07-18 16:45
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