紫水晶     花 鶏 (アトリ)

 女将から事務所に電話、『初がつお、食べに来てね』・・・「アイナメも食べに来てね」等々季節ごと様々に誘われては、小料理屋の暖簾を幾度となく潜る、もう遠い昔の話だが、・・・女将はいつも紬を着こなしていたと記憶している、私も結婚をし、町を離れる時に安物ではあったが紫水晶のキーホルダーを差し上げた。
 『財布につければ一生お金に困らないわね』と笑顔が淋しそうだった。その紫水晶が店の後を継いでいる娘女将の帯びに下がっていた。・・・。ほんと、遠い昔のことだ、青葉が微風に揺れ、その囁きが酔いの回った私の耳に通り過ぎて行く。

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恋すてふ我名はまたき立にけり 人しれすこそおもひそめしか  『万葉集』

今夜こそ思ふ存分泣いてみむと 泊りし宿屋の 茶のぬるさかな    『啄木』
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by hiro-0941 | 2007-04-24 23:27
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