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初夏と青葉               キビタキ

所用にて甲府一日在、何処へ行っても青葉が眩しく輝き、目に染み入る。一日爽やかに過ごす。終ぞ書くのを忘れてしまったのが、大楠公の歌、青葉を見るたびに思い出されるのはこの歌だ。楠木 正成・正行の話これを美談と称する人もいるのだが、楠木 正成の所業の賛否はいずれにせよ、桜井の別れ、太平記の中の話である。

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堅い話で恐縮だが、楠木 正成が自ら討ち死に戦場へ向かう、息子に朝廷に忠誠を誓えよと後顧の憂いを残す壮絶な話である。私は戦争や戦いを賛美するものでもないことをあえて強調しておきたい。この話には恋愛ものは存在しない、ただ男の人生の広大なロマンを感じてならない。機会があれば詳しく論じてみたいと思う。

一 青葉茂れる桜井の
  里のわたりの夕まぐれ
  木この下陰したかげに駒とめて
  世の行く末をつくづくと
  忍しのぶ鎧よろいの袖のえに
  散るは涙かはた露か

二 正成涙を打ち払い
  我子正行呼び寄せて
  父は兵庫におもむかん
  かなたの浦にて討ち死にせん
  いましはここまできつれども
  とくとく帰れ ふるさとへ

三 父上いかにのたもうも
  見捨てまつりてわれ一人
  いかで帰らん帰られん
  この正行まさつらは年こそは
  いまだ若けれもろともに
  おんとも仕かえん死での旅

四 このひとふりはいにし年
  君のたまいし物なるぞ
  この世の別れの形見にと
  いましにこれを贈りてん
  行けよ正行まさつらふるさとへ
  老いたる母の待ぢまさん
by hiro-0941 | 2007-06-05 00:26
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