静寂な闇の向こうにスキー場の明かりが見える。遠くで車のクラクションの音も聞こえる。若者たちのオールナイトのスキーなのだろう。二・三十年前とは時代は変わった。
先日勝沼ワイナリーから山中の『ふじやまビール』へと足を伸ばした。ドイツのビヤホールのような感じで私の好みの場所だ、仲間たちとまた、何時もの様にお洒落に、くだらなくも今夜一晩盛り上がった。
『然し、心の合うた友だちなどと相會うて杯を擧ぐる時の心持も亦た難有(ありがた)いものである。
いざいざと友に盃すすめつつ泣かまほしかり醉はむぞ今夜
語らむにあまり久しく別れゐし我等なりけりいざ酒酌まむ
汝(な)が顏の醉ひしよろしみ飮め飮めと強ふるこの酒などかは飮まぬ』 若山牧水