秋の里山の風景の一つ、楢や、クヌギの類の黄色く或は茶色に枯れ紅葉した葉のことを言う。これがまた山間の集落の中に晩秋の彩を添える、里山の主たちと散策しながらドングリの実を拾い、まだ食べられる栗があると言うので、芋などを焼きながら栗も頂戴した。いつしか、舞茸や椎茸などを焼きながら、やはり一杯飲み始めた。その昔万葉の世界には、紅葉を愛でながら酒飲みをしたのだろうか、物思う秋なのにつまらぬことばかりが頭の中を回転している。
酔いも廻り木々の中を歩き始めると、何処からか線香の香りがしてきた。此処の集落の人なのか亡き人を弔いに来たのであろうか、やや腰の曲がった老婆と、その息子なのだろうか歩く後姿に、秋の悲哀を感じてならぬ。
『幾返りもみぢきぬらんははそ原ちりしく木の葉秋をかさねて』 藤原定家