四季は廻り来る、立春も過ぎ、ただ春を待つのみなのだが、昨夜からの雨も上がり今朝の爽やかな空気は、このオゾンがいっぱい含んでいるような、独特の匂いのする何とも云えぬ早春の感じがした。何せ二十年ぶりの寒さというからそう簡単には暖かくならない、朝同じ時刻なのに日差しが変わってきている。その穏やかな日差しを受けながら郊外を散策してみる、わが目に触れ感ずる草木木々は、蕾はあるもののまだ赤茶けた木肌色合いのまま、かたくなに冬の装いのままである。春を意識するという気配も感じず、ただ木漏れ日のみが幾分早春の感有りと云ったところであろうか。
『遠山に 日の当たりたる 枯野かな 』 高浜虚子